福田十糸子さんの作る動物たちには、やんちゃそうだったり、とぼけていたり、時には意地悪そうだったりと、デフォルメされた「おかしみ」が感じられて、それが一番の魅力と言えるところですね。 しかし、よくよく眺めていると、それだけではなくて、それぞれの動物には、ドキリとするほどにリアルな骨格が備わっているということにも気付かされるでしょう。 福田さんの仕事は、いつも対象をしっかりと写し取るところから始まって、その上で、余分と思えるところをどんどん削ぎ落とす作業を繰り返します。 「削ぎ落とすことは、最大公約数に近づけるということではなくて、それぞれの個体、つまり『個』としての存在を見つけ出すことだから。」と言います。 こうしてシンプルになったはずの動物たちですが、たしかに、表情も動きも豊かになっている気がします。その動物の、ほんとうに大事にしたい芯の部分が際立った結果、ということなのだと思います。
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