home > items > 山口和宏さんの木のうつわ、オンラインショッピングにアップしました
山口和宏さんの木のうつわが、どんなふうに素敵なのかを説明しようと思うのだけれども、いつも言葉が見つからなくて、「とにかくなんだかとっても良いんですよね。」みたいなことを言って濁してしまいます。
木のものは人に優しいとか、温もりがあるとか言うのは、確かに大事な要素であるのでしょうが、それは元来の木が持つ性質の話であり、ある意味、誰が作ったものにも感じられる木工品の美点のひとつに過ぎないと思うのです。
ご本人も「特別に主張することなく、何気ないものが作りたい。」なんて言うので、まあ、自然体というか、あんまり考えすぎないで作ってらっしゃるのだろうと受け止める方も多いかとは思いますが、山口さんの場合は、そういう素朴の魅力というか、土っぽい感覚とはずいぶん違う気がしています。
もうちょっと繊細と言うのか、一つ一つのかたちや、厚みや、質量といったもろもろの要素が、その素材に対して最も均衡のとれる着地点に導かれていると言うのか、絶妙のバランスが保たれていることに、無理のない美しさを感じます。
それはきっと、突然考えて出来たことではなくて、「この木にこのかたちは似合わない。」とか、「このノミ跡はいいなぁ。」というような些細な選択を日々延々と繰り返すことでたどり着いたものだろうと思います。
若い頃に出会った「かっこいい」仕事に憧れて、田舎に住んで、工房と自宅を自分の手で建てて、共働きの奥様と家事の分担を分け合い、食物アレルギーを発症した娘さんのための食材選びに試行錯誤を続けてきた山口さん。
そのまっすぐな暮らしの中で、なにを捨て去り、なにを残すべきか、意志を持って選び続けてきたことは、一枚の木のお皿にも映し出されているはずです。
昨年、倉敷意匠の直営店・アチブランチにて、山口さんの個展を初めて開催させていただきました。ずらりと並ぶうつわは、余計なものが全部取り払われて、いちばん素直なかたちであることがどんなに美しいことかを、あらためて実感させてくれました。
なのに、会場のうつわを眺めながら、「猫のお皿、作ってくれませんか?」とお願いしてしまいました。そんなこと言ったら、山口さんファンの方々から叱られそうだなと思いつつ、だからこそ、やってみて欲しいと思いました。
普段なら見せない遊びごころを見てみたい。脇道の仕事だから、少々可愛らしすぎても笑って許してもらいたいなあ。
そういえば、山口さん宅の木のうつわは、パンやサラダだけでなく、鶏の唐揚げや山菜の天ぷらなど、油をつかった料理にも積極的に使われます。木肌は、毎日の油や水を含みながら艶を増し、うっとりするほど美しく育っていました。
削ぎ落とされて生まれる美しさとは別に、加わったり積み重なったりして出来上がる喜びみたいなものも、確かにあると思います。
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